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評価:
福永 武彦
新潮社
¥ 460
(1956-03)
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結構好きでした…
ショパンの演奏会云々…のあたりからショパン聴きながら読んだらぴったりすぎてびっくりした。ショパンの繊細且つ(作中の言葉を借りるなら)甘い音が生とか死とか愛とかを静かに描いた文中の情景や心情を浮かび上がらせる。特に合うのはやっぱノクターンかなー。
サナトリウムで療養する「私」は汐見茂思という男と出会う。彼は自殺行為にも等しい手術を受けて帰らぬ人となり、「私」に二冊のノートを遺す。そのノートには汐見茂思の青春とも言うべき二つの恋が記されている。
汐見茂思の潔癖であり崇高である思想と愛に打ちのめされた…。現代とは時代背景も全然違うし彼みたいに頭良くもないので、汐見茂思の思想に同意できない部分は多々あったけど、彼の純潔がゆえの孤独ととうとう叶わなかった二つの愛(というかこれは一つと言っていい気がする。藤木忍への愛も藤木千枝子への愛も同じものなんじゃないかなー)作者の綺麗な日本語も相まって感動してしまった…
これはいい!ちょっと文庫欲しくなった…